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2014-02-03

Read: Stiles et al. (2005) Auk "Wing morphology and flight behavior of some north American hummingbird species"

Stiles, F. G., Altshuler, D. L. & Dudley, R. Wing morphology and flight behavior of some north American hummingbird species. Auk 122, 872–886 (2005). doi: 10.1642/0004-8038(2005)122

ひとまず Abstract と Discussion のみ読んだ。あとで全部読む。

北米の数種類のハチドリの翼形状を調べた研究(死骸から)。大きな発見は、成熟したオスの翼が未成熟のオスやメスの翼よりも小さいということ。より正確には、短い上に、AR (aspect ratio) も小さい。したがって翼面荷重 (wing loading) は大きい。この、雌雄での大きさの逆転 reversed sexual size-dismorphism はどうも北米のハチドリに特有な物らしい。

どうやら、そもそも論としてナワバリ内での活動頻度的なものが、wing disc loading (WDL, 翼が掃く面積で体重を割った値 訂正:wingbeat amplitude = 180 deg と仮定して、wing length を半径とする円盤面積で体重を割った値だった) と相関しているだろう、という仮説があったらしい。実際、成熟したオスでは高翼面荷重かつ WDL も高いのでそれっぽく思えるが、未成熟のオスでは WDL が小さいのでこの仮説は棄却された、としている。

結局、この成熟したオスの翼が小さいのはじゃあなんなのか、という答えとしては、メスに対するディスプレイ飛行のためではないか、特に、 sound generation かもしれない、ということになっている。どうも多くの北米の種では primary feather の長さ自体にも(オスのみで?)特徴があるようだ。一部だけ短かったり。それが音を出す役に立ってるかもよ、とかそういう話。この音関係の話は Science に2011に出ている のであとでフォローするつもり(短いしね)。

ただ、Dudleyらしく(?)、パワの話や機動性の話については慎重で好感が持てる。成熟したオスでは翼がより短いが、ARは大きくテーパもきつい。未成熟のオスやメスの翼に比べると、disk loading が大きいため(Discussionにはそう書いてないがたぶんResultsにある)sqrt( disk loading ) で効く induced power も大きいはず。だが、third moment of wing area で効く profile power は小さいはずと。一方で inertial power については、これは質量分布が効くのだが、骨や筋肉は wingbase 付近に集中しているので、なんともいえない(ここがまず humble でよい)。さらに、こういうことが相対的に・定性的に言えたとしても(そもそもそれも implications という控えめな表現)、直ちにそれが機動性に繋がるかは一概には言えないよとしている。たとえば、翼が長いということは慣性モーメントが大きいので一見ロール機動が遅いようにも思えるが、重心から風圧中心までの距離(モーメントアーム)も大きくなるだろうから、空気力によるトルクも増大すると予測できて、結局機動性がどうなるかはわからんよと。すばらしい。でもアクセプトまでに1年くらいかかってることを考えると査読で突っ込まれたのかもしれない。言い過ぎだろ、とか。

結論として、従来のような actuator disk では現実の行動まで説明するには不十分で、より詳細な運動データや力の情報が必要としている。それ自体は「待ってました」というところなのだが、問題は "during maneuvering in different, ecologically and behaviorally meaningful contexts" での計測をよろしく、という付帯条件。これはそうとう難しい……。そりゃ彼らも実験室ではこの時点ですでに飛ばしているわけで、そうだよな、というところではあるけれども。

自分の感想を付け加えると、死骸でいいのか?っていうことがある。ただ、一応、個々の羽根は死後でも乾燥したりはほとんどしないらしい(山階鳥類研究所スタッフ談、pers. commun.)。それに、著者らも認めているように(だがそれ以上に我々の方が詳しいように)、翼運動 (wing kinematics) が空気力発生には圧倒的に重要なのは間違いない。静的な計測はもういいでしょ、動きを測らないと、というのは当然の流れで、したがって2年後の2007にTobalske et al. のエポック的な(僕の中で)Three dimensional kinematics of hummingbird flight が出てくるのは自然だったのだろう。一方 Warrick は同じ2005に PIV をしていた。やっぱ進んでたわけで、そりゃ Nature だなぁ。



2014-02-02

Read: "Limits to vertebrate locomotor energetics suggested by hummingbirds hovering in heliox"

http://dx.doi.org/10.1038/377722a0

Chai & Dudley (1995) Nature. 当時 Dudley は Texas にいたのか。知らなかった。

4羽の ruby throated hummingbird をアクリル製のチャンバの中で飛ばし、空気を徐々にheliox(ヘリウムと酸素の混合気体)で置き換えることで、酸素濃度を21%に保ったまま空気密度を最大で半分程度まで下げる実験。ハチドリにはフィーダのところでマスクを被せるようにして酸素消費量を測る。同時に、羽ばたき運動を撮影することで羽ばたき周波数 (wingbeat frequency) と羽ばたき振幅 (wingbeat amplitude) を求める。

アンデス的な高地の環境を模擬した従来研究とは、酸素濃度を21%のまま保っているところが違う。したがって酸素不足でパワが出ない、という事態を避けることができる。これがおそらくこの実験でなかなかうまいところだったのだろう。

結果、ハチドリは主に羽ばたき振幅を増やすことで空気力の垂直成分を体重と同じに保った(羽ばたき周波数も若干増加)。しかし空気密度が約半分程度に下がった時点で継続的なホバリングが不可能となった。その時点で、羽ばたき振幅は180度かそれ以上であった。Muscle mechanical efficiency estimated as P_per/(0.9*P_input) は空気密度によらずほぼ一定だった。

ハチドリには aerobic muscle しかないらしい。知らなかった。

ハチドリの場合は窒素を完全にヘリウムに置き換える前にホバリングができなくなってしまったが、過去の研究で orchid bee というやつはそれができたし、しかも mechanical power output も大きかったという。にもかかわらず、ハチドリと違って羽ばたき振幅は142度。結論として、羽ばたき振幅が最大出力を制約している、としている。

空気力というかパワの計算は Ellington 1984 のやつ。

Perfect elastic storage と zero elastic storage で mechanical power が倍以上も違う。なるほど…こんなに違ったらそれは色々と調べたくもなる。この論文では結局 perfect の方がより確からしい、ということになっている。Zero だとトータルパワがでか過ぎて非現実的、ということのようだ。しかしおそらく実際はどこかこのあいだなのだろう。

Perfect の方は個体差がほぼないが、zero の方は個体差が大きい。この違いは inertial force にあるので、つまりは wingbeat frequency が効いてるのだろう。Oxygen consumption と、muscle mechanical efficiency も個体による差が大きい。つまり…自分のように単一個体、しかも少ない周期のデータでは絶対値自体を他の種なんかと比較するのには慎重になるべき、ということがわかる。適切に無次元化するなど気を付けないと。

筋肉の重量は体重の25%という仮定で、これは Greenewalt 1962 に調べたデータがあるようだ。調べる必要がある。

2014-01-20

羽ばたき飛行研究者(仮) 無謀にも『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』を語る

タイトルは釣り。と言っておけば何でも許される風潮はどうなのか。別にいいか。

『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』[amazon.co.jp(アフィじゃないよ)] の感想。

言い訳

「はじめに」でも「あとがき」でも繰り返し批判はやめてね、とある。でも実際に読んだ人はわかると思うけど、この著者が批判を嫌がるとはとても思えない。つまりこれは「ツッコミも待ってるよ」という巧妙なフリと思われる。そうに違いない。ということにする。そうすると「個人ブログにも書かないでね」は「個人ブログにも書いてね」と読み替えられる。…ちがったらすみません。

コメント

進化関係の本では最高に面白かった

ていうほどたくさん読んでませんすみません。なんでって眠くなるんだよね…骨しかでてこないんだもん。そんで延々とこの骨がどうこう、みたいな anatomy の話をずっとしてる。いや、選んだ本やセクションが悪かっただけなんだろうけど。その点この本は自分の現在の興味(飛行の進化)とピッタリと合致していたこともあってものすごく楽しめた。それだけじゃなくて、たとえば匂いについての話など、最近になって個人的に気になっていたところを完璧に回答された気がしてかなり嬉しかった。

…なんかこのセクションの分量が少ないと「結局批判に終始するのかよ」って言われそうだけど、そうじゃなくて本当に気に入った。事実と意見を峻別し、意見を述べる際は必ず断定を避ける姿勢も好きだし、内容的にも特に前半のイントロが自分のような専門外の人間にはものすごくわかりやすかった。全体的に文章が読みやすいし、相当推敲してるんだと思う。恐竜の生態や生態系の予想も、単なる妄想ではなく、いちいちもっともらしい根拠がちゃんとあって、読んでいて「確かになぁ」と思わせられる。にもかかわらず、謙虚。例えば、p. 198 のホッピングで岩場を登る獣脚類なんて、「おぉ!すげぇ、ありそう!」と思わせておきながらまさかの敗北宣言。これがいい。

実はちょっと前に佐貫亦男の『進化の設計』という本を前に借りたことがあったんだけど、途中で読むのが苦痛で返却してしまった。なんていうか、随所に「創造主は」とか「造物主は」みたいな表現が入るんですよ。いや、そんなこと気にしないで読めばいいんだろうけど、ちょっと無理でしたね…気にしすぎかもしれないが。同時に借りた養老孟司の『形を読む』という本は問題なく最後まで読めたのだけれど、特に鳥や飛行に寄ってなかったので、もっとそういう系のないかなーと思ってたら、この本があったと。個人的には、このブログのタイトルの元ネタでもある Nature's Flyers 以来のヒットかもしれない。ていうか今更だけどこのブログタイトルどうなんだ…ひどいな。

(まぁこんだけ持ち上げとけばいいか…)以下、読みながら思ったことをつらつらと。

Inline citation がないのが残念

一般向けなのでわかるんだけど、ここまで素晴らしい本で inline citation がないのが非常に残念。General reference は参考文献としてあるけど、そうじゃなくて inline citation が欲しかった。一般向けと専門向けの境界付近だけど inline citation をしてくれている本ってのは一般人ではなく研究者が入門に読むのに非常にありがたいのだけれど。ちなみに飛行のバイオメカニクス関係では、 Nature's Flyers [amazon.co.jpでの紹介(アフィじゃないよ)] や、Life in Moving Fluids [] がinline citationをしてくれている。Robert McNeill Alexander も入門寄りの本をたくさん書いているけど、やっぱりinline citationしてくれてる。とはいえ、縦書の本だからしょうがないのかなぁ。

学名がカタカナのみなのが残念

カタカナとアルファベットは併記して欲しかった。これも縦書だからかなぁ。それ以外に理由が思いつかない。

WAIRについて

鳥の羽ばたきの進化史について、モンタナ大のK. P. Dial のグループ が提唱している wing assisted incline running (WAIR, ウィアーみたいな発音。[youtubeの動画]) という仮説がある。これは、樹上説と地上説のいいとこ取りみたいなもの(?)で、要は、走って木に登るときに羽ばたきが補助になったのでは、というもの。JEB や Proc. B だけでなく Science や TREE にも出ていて (Dial 2003 Science; Heers&Dial 2012 TREE)、そこそこ有名なはずなので、著者が知らなかったというのは考えにくい。意図的に言及を避けたのだと思う。なぜだろうか。鳥類学(非バイオメカニクス系)の業界的には、イロモノ扱いなのだろうか。

ところで、彼らは登るときだけじゃなくて降りるときにも羽ばたきは役立つよといって、それをなんと controlled flapping descent (CFD) と名づけている。数値流体力学 (computational fluid dynamics, CFD) で羽ばたきをやってる自分などは大変に混乱するので、やめてもらいたい。覚えていたら今度会った時に直接伝えようとは思っているが、もし言うとしたら Brandon Jackson も K. P. Dial もコワモテなので Bret Tobalske に言おうと思う。

翼竜の指の骨 (pteroid) の向きについて

翼竜で、親指(?違ったらごめん。なんかそのへん)に相当する pteroid という骨がある。場所的には、鳥でいう alula (bastard wing) に似てる感じ。この骨が実際にはどっちを向いていたのか、というのが実はちょっとした(かなり?)論争になっている。バイオメカニクス屋からは、この骨は前向きに付いていて、飛行機で言う前縁のドループ (droop) みたいに失速を遅らせたり揚抗比を改善する効果があったのでは、という意見が出ている (Wilkinson et al. 2006 PRSB; Wilkinson 2007 JEB)。これに対して、古生物学者(の一部)からはかなり手厳しい批判が出ている。「そんなわけはない、横向き(腕の骨と平行)のはずだ」と。人によっては個人攻撃じゃね?っていうくらい辛辣なコメントもしていたり、ちょっと感情論入ってそうなところもある。

実は Wilkinson の元同僚に直接このあたりの話を聞いたことがあって、このような論争が起きる一因として、この pteroid という骨と腕(手?)の骨をつなぐ軟骨が化石に残らず、したがって確実な向きの特定が化石からは難しいということがあるらしい。ちなみに、Wilkinson は当時ケンブリッジで Ellington の博士課程学生だったが、修了後は研究を続けずに役者になってしまったらしい…別に批判されたからというわけではないと思うけれど。

話を戻して、この本ではどうかというと、pp. 106-107 の図において、pteroid は明らかに前を向いている。上記のような論争を知っていて、敢えてバイオメカニクス寄りの表現にしたのだとすると、興味深い。そうでなく無意識だったとしても、鳥類学者は古生物学者とは常識が違う、ということだから、面白い。

なお、この話ではしばしば前縁スラットという表現が散見されるが、現代の旅客機ではスラットは隙間があるのが普通であるため、ドループ、あるいはやや一般的になってしまうが前縁フラップがいいだろう。スロットは隙間(変形しない事が多い?)を指すので、誤り。「いや、翼竜の翼膜に隙間があって境界層の剥離を防いでいたはずだ」というならそれはそれで面白いが。

そのほか

他にもたとえば、ハトの首振りの話があって、これ自体の論文はまだ検索してないけれど、最近になって飛行中の鳥の頭の固定についての論文が出ていた (Su&Yang 2013 B&B) ので「おっ」というのを感じたりした。

pp. 103-104 にかけて、羽根の話が出ているが、ここは細かいけどちょっとツッコんでおきたい。

> もちろん打ち下ろすときには、羽毛は密着し、空気を逃がすことはない。

これは読んでいて「ん?」と思った人もいると思う。「確かに翼の根元側はそうかもしれないが、翼端側では打ち下ろしでも隙間あるんじゃない?」と。種や飛行状況によっても違うかもしれないが、実際に隙間があることはよくある。と思う。隙間があるとだめなわけじゃなくて、飛行機のフラップやスラットと似て、隙間からエネルギを持った流れが供給されることで失速を遅らせて揚力係数を増やしたり(つまりむしろ隙間があった方が力が増えるかもしれない)、あるいは揚力が増えなくても抗力を減らして、揚抗比を改善している可能性がある。場合によっては、翼が個々の羽根に分かれて、代表長さである翼弦長を減らすことで局所的な Reynolds 数を低下させ、境界層遷移を制御してるのでは、みたいな意見すらある。このへん、翼端デバイス(ウィングレット、ウィングチップフェンス)の話というのは、固定翼や鳥でも滑空だとたくさん研究されているのだけれど、羽ばたきではまだこれからというところ。ていうかやりたいです。ここだけの話PDの職探してるんですがいい口あったら教えて下さいお願いします(必死)。

なんかたいして羽ばたき飛行研究者っぽくないなぁ…ひどいな。読んでる時はもっと色々考えてたんだけどメモとってなかったので忘れてる。また読み返す時間があって気づいたことや思いついたことがあったら追記していくつもり。

2013-12-03

read: Daniel & Combes (2002) ICB

Ref.

Daniel, T. L. & Combes, S. A. 2002 Flexible Wings and Fins: Bending by Inertial or Fluid-Dynamic Forces? Integr. Comp. Biol. 42, 1044–1049. (doi:10.1093/icb/42.5.1044)

Words & phrases I didn't know/was unsure of


  • the crux of 
  • pervasive issue
  • a wide swath of scale arguments
  • an amalgam of shape and kinematics
  • we adopt a two-pronged approach
  • we imbue a simple rectangular wing

Comments


One of the first papers by Combes stating inertial force dominates the wing deformation in flapping flight, compared to aerodynamic force. The scaling calculation looks elegant but may not be accurate enough for some situations... where rho = rho(l) and A = A(l). The exact distribution should be variable between species but usually both mass and area would be concentrated close to the wing root, which decrease the impact of inertial contribution. In addition, the assumption of "uniformly distributed pressure load" (= aerodynamic force) on the wings is also too simple. I am not quite sure why they didn't use (2/3)L or (3/4)L instead of (1/2)L.

So my impression is that they overestimated the ratio of inertial/aerodynamic due to oversimplification, but the extent is not quite clear yet. It is possible I will calculate this and mention it in my next paper. But before going further I better read her other papers first.

2013-01-23

Why "evolution of flight" and only flight?

最近 evolution of flight に興味があるんだけど、そうなるとなんで flying だけ特別扱いするの?そんなことしていいの?とか考えたりしてた。してる。

今のところ key かなと思ってるのは、メカニクスからの要求というか制約が、他のさまざまな淘汰圧に比べて非常に大きいのが飛翔体の特徴だろう、というあたり。Swimming になると、鉛直方向の力という制約が緩くなるので、メカニクス以外のファクタが入り込む余地が増える、はず。

飛ぶ奴はまずみんな当然翼がないといけない。一番わかり易い convergent evolution(といっていいのか?)。あと、軽くないといけない。鳥類は哺乳類に比べて形態の広がりが著しく小さい(みんな似ている)。飛翔に適した基本形/基本スペックから大きく外れると…ダチョウ・キーウィ・etc. のように飛べなくなってしまう。重すぎて飛べなくなったが、鉛直方向の流体力を浮力に切り替えたお陰で泳げるようになったのがペンギン。まぁフリッパーの流体力についての論文まだ読んだこと無いから実は結構フリッパーでも上下に力だしてるかもしんないけど。

昆虫が鳥やコウモリに比べるとバリエーションに富んでいるのは、low Reynolds number なので流線形が重要でないことが効いている。でも軽さの縛りはかなり厳しい。

遊泳の場合、浮力があるので、重さの制約がなくて鉛直上向きの流体力をがんばって作らなくていい。シロナガスクジラ重いよね。ただ、魚とイルカ・クジラは Re 高いので、流れ方向の抗力係数を減らすための流線形ということで形が似てる。この制約はかなり強いんだな。その意味ではメカニクスかなり効いてる。でも一方で、エビとかタコとかイカとかクラゲとか色んなやつがいる。揚力作らなくても浮けるし生きていけるので、バリエーションの余地がある。

というあたりで、flight を特筆することは(evolution の観点からも)正当化できそうなんだけど、逆にこういうのを横断的に見渡してなんかうまいこと論文を書けないかなぁ。本とか review article にはなりそうだけど普通の article にはしづらいかな。まぁ当たり前すぎるかな。

2012-04-10

読んでる:Flying and swimming animals cruise at a Strouhal number tuned for high power efficiency

http://dx.doi.org/10.1038/nature02000

ちゃんと読んでなかったので見返してる。昆虫はたったの2種類、locusts と moths だけなの? それはどうなんだろうか……。どうやら巡航状態のデータがないのが問題、と。

St と k の関係についてのおさらい
St := f Lref / Uref
k := ω Lref /(2Uref) =  2πf Lref /(2Uref) = πf Lref /Uref
where
  • St = Strouhal number
  • k = reduced frequency
  • f = frequency (e.g. wingbeat frequency in flapping flight, heart rate in hemodynamics)
  • Lref = reference length (e.g. mean chord length in flapping flight, diameter of blood vessel in hemodynamics)
  • Uref = reference velocity (e.g. wingtip velocity in flapping flight, mean inlet velocity in hemodynamics)
  • ω := 2πf = angular frequency
のはず。つまり、k = πSt でいいのか……?と思って普段自分がやってる昆虫の k から St を計算しようとすると、あわない。なんで?どうやら reference length と reference velocity の定義が違うようだ。この論文では、
  • reference length = stroke amplitude
  • reference velocity = forward speed
としている。この stroke amplitude とは何かがややわかりづらいが、要は一周期での翼端の移動距離(付け根に対して)の1/4ということでよさそう。これで St を計算しなおすと……それらしい値になった。代表変数として何を使っているか、というところに気を付けないと危ないね。

References:

2012-01-12

ISABMEC 2012

8月末に台北で:
http://www.abmech.org/isabmec2012/

Deadline は3月半ば。某所から台湾行きたいって声あったけどこれはチャンスなのかどうなのか…

読んでる:Morphological and kinematic basis of the hummingbird flight stroke: scaling of flight muscle transmission ratio

http://dx.doi.org/10.1098/rspb.2011.2238

Discussion と Intro まで読んだ。強調したいところはわかったがもうちょい読み込む必要あり。

・hummingbird は筋肉の収縮する長さというか strain が他の鳥より小さい。これは羽ばたき周波数が大きく、そんなに長い距離を収縮している暇がないからと考えられる。しかし羽ばたき振幅は 120 度程度と他の鳥と同じくらいなので、小さな strain をより大きく増幅する必要がある。そのメカニズムはどういうものか?という motivation.
・hummingbird の翼と胴体に微小なプラチナ片を複数貼り付けて高速度X線撮影+翼表面にもペイントして高速度可視光撮影。X線カメラ2台+可視光カメラ5台。このあたりはハーバードなのでブルジョワ。
・humerus の長軸まわりの回転が additional rotation になってる?ちょっとこの肝心のメカニズムのところよくわからず。マテメソと Results 読む必要あり。
・歯車でいうギア比のようなもの (transmission ratio) が他の鳥よりとても大きいことが示されるのだが、この比を複数の鳥だけでなく昆虫にまで延長してスケーリングを見ると、直線のトレンドがあって hummingbird もそれに載っていることがわかる。




読んでる:A linear systems analysis of the yaw dynamics of a dynamically scaled insect model

http://dx.doi.org/10.1242/​jeb.042978

Ty Hedrick の commentary でやたら取り上げられていたので読みたい。

DiscussionとIntroduction, マテメソちょっとだけ読んだ。要約すると、
・他と同様 fruit fly yaw turning (1DOF) に着目
・Cheng et al. と同じく robo flapper だが、違うのは yaw torque に対する feedback を設けていること。つまり僕が numerical simulation でやっている fluid dynamics-rigid body dynamic coupling を numerical でなくmechanically simulating ということ。
・これはなぜか Discussion に書いてあったことだが(Introに書くべきと思った)、この手の実験手法には大きく二つある。一つは実際の飛行を計測し、羽ばたき運動を基に空気力やトルクを出す方法。もう一つは実際の飛行に基づくのではなく、ある程度リアリスティックなパラメタをスイープする方法。この論文は後者の手法に属する。この整理の仕方は漠然としか意識していなかったがなるほどと思った。自分がどっちで行くつもりなのか区別することは重要だ。
・結論として、Fry et al. 2003 の考察にあった inertia dominates を否定し、かといって damping dominates でもなく、ある程度の比率で両方が寄与している、となっている。これは前項に対応して、代表的と思われる条件だけでなくある程度パラメタを降った場合でも結論が変わらないことを確認している(きっちり締めているな、という印象)。


単語:
gravidity: 妊娠しているかどうか、的な意味。pregnant しか知らなかった

2011-12-29

なぜ鳥は絶滅しなかったのか?

これかなり初歩的なことなのかもしれないけどわかんないので。というか、なんとなく、問の立て方が間違っていて、正しい問いを立てられたなら答えも見つかるタイプの問題という気がする。

似たようなこと考えた人は当然いるわけで
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1729442.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1145990826

こういう意見というか妄想もいいんだけどたぶんこれ関係のまともな論文あるよね。偏ってない視点からの review article なんかだとなお良い。なかったら誰か書いて欲しい。

まぁ英語で検索した方がいいのだけれど、ノイズも増えるので。S/N比は多くの場合日本語のほうがいい気がする。問題は日本語だとS=0もよくあるし、S=fewはもっとよくあるということか。時間節約という意味では専門家にきくのが一番早いな。こういう話は特に。まぁ結局 en.wp から始めるのが現実解なのかな。後で読んでみよう。専門性高くなるほど情報源偏ってるのでそこは注意だが。

自分のポイントとしては、飛行性能が関係あるのか?というところ。翼竜は絶滅したわけだが、鳥との違いは何か?コウモリは恐竜絶滅後なんだね。そんなに最近だったのか……。まぁ飛べたかどうかということのインパクトはそんなになさそう、という結論がありそうだけど。寒冷化したんなら飛べたかとかじゃなくて羽毛の保温とかのほうが効いた、とかだったりするのかなぁ……とかいうあたりまでは妄想した。


このへんまで考えたところで、そもそも鳥は恒温だけど恐竜って結局どっちという話になってるんだろ?と思って ja.wp だけ見たけど、「少なくとも恒温的なのもいたでしょうね」的感じでいいのかな。まぁ鳥になったんならそうなんだろうけど。鳥が(あるいはその前の恐竜が?)恒温になったタイミングは気になるところ

このあたりって physiology 系で evolution やってる人は凄く気になるんじゃないのかな。変温と恒温ってかなり distinct というか不連続に思えるんだけど、その変遷というかどうして/どうやって変わっていったのかというあたり。……あ、そもそも哺乳類というのがいたか。

哺乳類 爬虫類 進化 恒温 変温 でググったところ、
外部の熱源に頼って体温を上げる変温性の動物から、体内の熱生産によって高い体温を恒常的に維持する内温生への進化に関する最も信憑性の高い説明は、1979年にカリフォルニア大学のベネット博士とオレゴン大学のルーベン博士によって提唱されました ( http://www.bio.sci.toho-u.ac.jp/information/017692.html  )
とあった。まぁ当然やってるひといるよね。鳥と哺乳類って別のブランチでそれぞれの進化で先端的な位置にいると大雑把に理解してるんだけど、考えたらどっちも恒温ってのは収斂進化になるのか。

読んだ: Damping in flapping flight and its implications for manoeuvring, scaling and evolution

http://dx.doi.org/10.1242/​jeb.047001


先輩に教えてもらった。Ty Hedrick の単著。Commentary となってる。焦点を絞った review article 的な?要は FCT についての現状まとめ。引いてるFCT論文の主なものは4本くらいで、Dickson et al. (last author は Michael Dickinson) だけは読んでないので読みたいところ。ってか読まないといかん。ともあれ、前半の、FCTのまとめのところはほぼ知ってることだったので読まなくてもよかった。面白いのは後半の evolution of insect flapping/wings についての仮説というか妄想(?)。



小さな翼のグライダ的昆虫を初期状態と仮定して、そこから2系統への進化を考えている:
  1. 翼を大きくしただけのグライダ→投入リソース小さめで揚抗比も改善し、安定飛行もできる。が、羽ばたきと違って滑空のみなので生存競争に破れて絶滅?とにかく今はそういうやつはいない(よね?滑空だけする翼の長い昆虫、いるの?)のでたぶんデッドエンド
  2. 翼は小さいままでまず羽ばたく→性能(揚抗比)的にはあまり改善しないが、とにかく安定する(FCTで!)
    • 翼を大型化→性能も向上。Powered flight できるので large wing glider に勝利して現在までつながる
という感じ。ガチの進化屋が見たら顔真っ赤にする以前に失笑なのかもだけど(いや知らんけど)、いちストーリとしては面白いんじゃないかと。

内容そのものよりも、ためになったのは、Ty の視野の広さ。ちょうど scope についてなど考えていたところだったので、うまいなと。今回は evolution に触れてみた、という感じだが、彼は今後どっちへ行くのかな。Neuro へは行かなそうに思えるが… Seattle と協力するのかもなぁ。

2011-12-18

ストーリ思いついた

FCT 関係で Biol. Lett. にいけそうなストーリ思いついた。2つの不安定性があってそのどちらかが卓越すると不安定になる、という感じ。検証はこれからするというのに、なんか直感的にこの方向でいけるという気がしてならない。

問題はコードの実装に手こずってるってこと。開発のモチベーションは高まったんだけども。

2011-12-17

読むかも: The Predatory Ecology of Deinonychusand the Origin of Flapping in Birds

カギヅメの新たな使い方と飛行の進化/ドロマエオサウルス類 - 恐竜の楽園
http://www.dino-paradise.com/news/2011/12/the-predatory-ecology-of-deinonychus-and-the-origin-of-flapping-in-birds.html

経由で、
Fowler DW, Freedman EA, Scannella JB, Kambic RE (2011) The Predatory Ecology of Deinonychusand the Origin of Flapping in Birds. PLoS ONE 6(12): e28964. doi:10.1371/journal.pone.0028964

うーん、FCT なのかねぇ

2011-04-06

Eye size, flight speed and Leuckart's Law in birds

Hall & Heesy (2011) Eye size, flight speed and Leuckart's Law in birds, J. Zool., 283, pp. 291-297.

I just skimmed the abstract.
There written there was no relation between the eye sizes of birds and their flight speeds.
I wonder what about acceleration then.
Falcons must be more agile than swans and having larger eyeballs? No relation?




2011-02-23

wing kinematics and order of Fourier series

これまではずっと Fourier 3次までとってきたけれど、
どうやら足りない場合もあるようだ。7次くらいまでなら高次振動乗らないしよさそう。

あとそもそも論文の図から kinematics とるときは注意しないとけっこうずれる。
Authors に直接データをもらうべきだなぁ。



5th (red) vs. 3rd (blue) order までとった場合の feathering angle の比較 (honeybee)。
よく見ないとわからないが、3rd までだと、mid downstroke/mid upstroke でかなり「なまって」いる。

2010-11-24

B&B update: Special issue on bioinspired flight

http://iopscience.iop.org/1748-3190/5/4

B&B (Bioinspiration & Biomimetics) という journal (学術雑誌)の今回の volume は生物飛行特集。
昆虫飛翔と鳥の飛翔がもりだくさん。
ダウンロードはひと月だったか二月だったか、期間付きで無料なので早めに落としたほうがいい。

2010-11-23

definitions of wing areas for aeroplanes and insects

特に意味はないんだけどさっき共同研究者に訊かれたので僕らはこういう定義使ってるよっていう。

飛行機の翼面積(主翼面積) S_w はこういう感じ。
上から見た投影面積で、胴体部分も含める。
C_L = L / ( 0.5 * rho * U_ref^2 * S_w ) みたいに無次元化に使う。


昆虫は胴体とrigidに繋がってないから、こう。
こうというか要は一枚の翅の片面の面積。キャンバとかギザギザは考慮してない。
C_f = F / ( 0.5 * rho * U_ref^2 * S_w1 ) みたいに使ってる。
F は空気力ね。

2010-10-22

2010 EiF - Hu&Wang - Dual leading-edge vortex structure for flow over a simplified butterfly model

http://www.springerlink.com/content/7t6393245g841566/

butterfly planform を gliding で PIV して dual LEV を初めて見つけたという。
この後 flapping も出てくるのだろうか…
とりあえず、CFD で速攻で確かめよう…

2010-04-18

Z. Jane Wang の最近の論文(PNAS, PRL)についてのメモ

Cornell Univ.の Jane Wang のグループによる、"Discovering the flight autostabilizer of fruit flies by inducing aerial stumbles"(doi: 10.1073/pnas.1000615107, 以下PNAS論文)と、"Fruit Flies Modulate Passive Wing Pitching to Generate In-Flight Turns" (doi: 10.1103/PhysRevLett.104.148101, 以下PRL論文) を読んだのでこれらについてのメモ。

いずれも yawing のみに着目している点は類似している。
PNAS論文では、fruit fly に微小な金属片を取り付けて(?)、磁場によって aerial stumble を与えている。これはけっこーうまいやり方だと思う。シミュレーションでないとできなさそうなことをうまくやったわけだ。ただし、重量増加がどう影響するのかってのは多少気になる。

PRL論文はモデリングの話。だが率直に言って、大胆すぎるんじゃないかという気がした。実際に組織を調べての anatomical なアプローチが待たれる、といったところか。

つづく


PNASも全部読んだ。忘れないうちにメモ。
p. 4 の左下に結論がまとまっている。
少なくとも yaw について、

  1. halteres(平均棍)は、胴体の回転角速度(角加速度じゃね?)が大きすぎると、サチって sense できなくなる、と思われる
  2. 回転姿勢制御は、PD 制御でうまく説明できる
  3. (なんかよくわからん)「今回の反応が、visual な刺激でなく、実際にハエの体を回転させた」ことを強調。これは、 halteres が利いてるよという意味。で、haltere のセンシングと visual なセンシングのカップリングは "remains an open problem"
て感じ。
すごいなと思ったのは、ハッキリと「PD制御」ということを示した、あるいは示唆した、こと。
納得いかないのは、yaw しかやってないのに、やたらと一般化したがっていること。


PRL の方。
FIG. 1A & 1B を見ると、roll してるじゃん!
しかも FIG 1C を見ると、この paper で主題としている AoA の元となる pitch angle の変化よりも、stroke angle (positional angle) の左右差の方が圧倒的に顕著。タイミングは違うが。なのに roll については完全にスルーですよ。なんだかなぁ。

うーん。
FIG 1C をじっと見ると、左右の wing の kinematics 差は
  • まず pitch で 2 周期くらい差ができる
  • 同時くらいに positional と deviation は、pitch の差動と同時期に、やはり左右でわずかに差ができているが、pitch 変化が終わったあたりから明確に左右差が生じている。特に positional angles で顕著
といったところ。あーやっぱこの kinematics を free-flight simulator に input するっきゃないなこれは