2014-02-02

Read: "Limits to vertebrate locomotor energetics suggested by hummingbirds hovering in heliox"

http://dx.doi.org/10.1038/377722a0

Chai & Dudley (1995) Nature. 当時 Dudley は Texas にいたのか。知らなかった。

4羽の ruby throated hummingbird をアクリル製のチャンバの中で飛ばし、空気を徐々にheliox(ヘリウムと酸素の混合気体)で置き換えることで、酸素濃度を21%に保ったまま空気密度を最大で半分程度まで下げる実験。ハチドリにはフィーダのところでマスクを被せるようにして酸素消費量を測る。同時に、羽ばたき運動を撮影することで羽ばたき周波数 (wingbeat frequency) と羽ばたき振幅 (wingbeat amplitude) を求める。

アンデス的な高地の環境を模擬した従来研究とは、酸素濃度を21%のまま保っているところが違う。したがって酸素不足でパワが出ない、という事態を避けることができる。これがおそらくこの実験でなかなかうまいところだったのだろう。

結果、ハチドリは主に羽ばたき振幅を増やすことで空気力の垂直成分を体重と同じに保った(羽ばたき周波数も若干増加)。しかし空気密度が約半分程度に下がった時点で継続的なホバリングが不可能となった。その時点で、羽ばたき振幅は180度かそれ以上であった。Muscle mechanical efficiency estimated as P_per/(0.9*P_input) は空気密度によらずほぼ一定だった。

ハチドリには aerobic muscle しかないらしい。知らなかった。

ハチドリの場合は窒素を完全にヘリウムに置き換える前にホバリングができなくなってしまったが、過去の研究で orchid bee というやつはそれができたし、しかも mechanical power output も大きかったという。にもかかわらず、ハチドリと違って羽ばたき振幅は142度。結論として、羽ばたき振幅が最大出力を制約している、としている。

空気力というかパワの計算は Ellington 1984 のやつ。

Perfect elastic storage と zero elastic storage で mechanical power が倍以上も違う。なるほど…こんなに違ったらそれは色々と調べたくもなる。この論文では結局 perfect の方がより確からしい、ということになっている。Zero だとトータルパワがでか過ぎて非現実的、ということのようだ。しかしおそらく実際はどこかこのあいだなのだろう。

Perfect の方は個体差がほぼないが、zero の方は個体差が大きい。この違いは inertial force にあるので、つまりは wingbeat frequency が効いてるのだろう。Oxygen consumption と、muscle mechanical efficiency も個体による差が大きい。つまり…自分のように単一個体、しかも少ない周期のデータでは絶対値自体を他の種なんかと比較するのには慎重になるべき、ということがわかる。適切に無次元化するなど気を付けないと。

筋肉の重量は体重の25%という仮定で、これは Greenewalt 1962 に調べたデータがあるようだ。調べる必要がある。

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